人間社会研究域人文学系　教授　田中　俊之
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　ヨーロッパの中世を知るうえで、騎士は重要な存在の1 つです。多くの中世文学が、貴婦人に対する騎士の礼節・献身を描き出したように、中世の華やぐ宮廷文化を象徴する存在として騎士イメージが作られました。他方で、世俗的な現実において、騎士は騎乗戦士として荒々しく「戦う人」であり、さまざまな戦争シーンで活躍しました。
　この講座では、騎士がどのように中世社会の主役の座を射止めたのかを、①騎士理念の形成と教会との関係、②騎士に求められた資質の変化、これら2 つの点を中心に、知っているようで意外と知らない騎士の実像にさまざまな史料を参照しながらアプローチし、中世社会の一側面を解き明かしたいと思います。